| English
トップページ > 領事情報 
海外安全対策情報(平成28年10月〜12月)

【1. 治安情勢概説】
(1)  最近の動向
       マレーシア国内では、政府に批判的な市民団体「Bersih」による汚職追放集会(10月初旬からマレーシア各地で順次集会を重ね、最終的に11月19 日、クアラルンプール市内で総括集会を開催)をめぐり、政府を支持する市民団体「Red shirts」が国内各地でBersihの活動を妨害したり対抗集会を開催するなどして、警察官が出動する事態が複数回発生しました。
       11月19日の集会では、クアラルンプール市当局が市内中心部の一部を立ち入り禁止にするとともに幹線道路を封鎖して違法デモ・集会の未然防止を図ったほ か、マレーシア国家警察も放水車等を装備した警官部隊など7千人を動員して警戒に当たりました。本集会は最終的にKLCCに約1万5千人(警察発表)が集 まりましたが、けが人や逮捕者は出ませんでした。
        一方、すり・置き引き被害は、人が集まる場所では一定数の被害が報告されているほか、単独又は2人乗りのバイクによるひったくりや「スマッシュアンドグラ ブ強盗」(交通渋滞等で一時停車中の自動車にバイクが後方から接近し、追い抜きざまに助手席等の窓ガラスを破壊し、助手席や後部座席の上に置いているバッ グ・衣服等を強奪し、そのまま逃走する犯罪手口)の被害も報告されています。
       10月から12月にかけて在留邦人及び短期滞在者が遭遇した事案としては、邦人女性に対する強盗事件(午後7時前後、クアラルンプール日本人 会から直近のショッピングモールへ徒歩移動していた邦人女性が、駐車車両の陰に潜んでいた男性に殴打された上バッグを強奪、10月中旬)や、在留邦人夫婦 に対するすり事件(ショッピングモール内でスマートフォンをリュックサックのポケットに収納したところ、数分後にスマホ等が盗難、11月中旬)などがあり ます。

(2)  テロ情勢
       6月28日深夜、クアラルンプール郊外のレストランバーで発生した手榴弾投てき事件(8人が重軽傷)以降、マレーシア国家警察は数回に及ぶ大規模な摘発に よりテロ関係者の逮捕とテロ事件の未然防止を図っています。また、国内主要交通機関や大規模商業施設、観光地等における警察・軍による共同パトロールや検 問を行い、併せて国民にテロへの警戒を呼び掛けています。
       一方で、年末にはマレーシア国家警察長官が昨今の世界情勢を踏まえてマレーシア国内でもテロへの警戒を高めていると述べました、テロへの警戒を巡っては、 国家警察交換が特に宗教施設や各種娯楽施設、米国権益関連施設を列挙して、これらの施設におけるテロ事件への警戒を高めていると述べています。
       なお、欧州と中東では12月19日、ドイツのベルリンで市場にトラックが突入して12人が死亡する事件が、1月1日にはトルコのイスタンブー ルで銃を持った男性がナイトクラブで乱射して39人が死亡する事件がそれぞれ発生しています。

 (3)  邦人の皆様へのお願い
       在留邦人及び邦人旅行者の皆様におかれては、外国では言語、法制度、警察組織や犯罪捜査手続など、あらゆる事象が日本と異なること、また、万 が一犯罪に巻き込まれた場合でも、日本の警察が行うようなきめの細かい対応は期待できないことをよくご理解下さい。
       その上で、「犯罪に巻き込まれない」ように注意すること、また、万一犯罪に巻き込まれた場合でも、「身体の安全を第一に行動すること」が出来るよう、心の準備と必要な安全対策を講じて下さい。
       併せて、空港や駅などの交通の要所や外国人観光客が多数集まる名所・旧跡、大規模商業施設では、外国人観光客を狙った銃乱射事件や爆弾テロ事 件が発生し、被害に遭遇する可能性が十分あることも念頭に置いて行動して下さい。


【2. 一般犯罪・凶悪犯罪の事例・手口】
       すり・置き引き、ひったくり、車上狙いなどの窃盗被害は、在留者や旅行者を問わず発生しており普段から注意が必要です。

    (1)  10月以降に大使館に報告等寄せられた事例
ア 日本人会近くでの強盗事件
     10月中旬の午後7時ころ、クアラルンプール日本人会から徒歩で直近のショッピングモールへ移動していた邦人女性が、違法駐車中の自動車の陰 に隠れていた男性に殴打され、バッグを奪われる事件が発生しました。犯行現場は、かねてから邦人がひったくりや強盗被害に遭いやすい場所として知られてお り、近くには警備員も駐留警戒していましたが、犯人は警備員から視認しにくい場所(駐車車両の間)に隠れて被害者を待ち伏せしていました。

イ ショッピングモール内でのすり事件
     11月中旬の日中、ショッピングモール内でスマートフォンで撮影をしていた邦人夫婦が、撮影を終えたスマートフォンをリュックサックのポケットに収納したところ、暫くしてポケットに収納したスマートフォンが盗まれてしまいました。
     犯人は、被害者たちがスマートフォンを第三者が手を触れやすいリュックサックのポケットに収納したことを確認し、タイミングを見計らって盗んだものと推察されています。

    (2)  インターネットを介した各種詐欺
      マレーシアでは、銀行口座や素性が明らかでない携帯電話番号の売買が横行しており、インターネットを介した各種詐欺が頻発しています。
      特に、国際交流サイト等を通じて知り合った外国人からマレーシアの銀行口座への送金を依頼される事例「国際送金詐欺」や、インターネットオークションの 落札者や入札者を偽装して商品や金銭を騙し取る事例は、日本のみならず欧米各国でも多数の被害者が発生しています。
      当館にも、「相手方の連絡先や 口座番号が分かっているので、マレーシアの警察に連絡して逮捕して欲しい」や、「騙し取られた金銭(商品)を取り返して欲しい」という相談が多数寄せられ ますが、当地ではマレーシア国内法規により、被害届は被害者本人が届けることとなっており、在外公館が被害届を代行して届け出ることは出来ません。
      皆様にあっては、電子メールやソーシャルネットワークサービスなど、直接相手方を確認することなく連絡を取り合う関係では、常に「相手の素性は不確かで ある」というリスクの下に交流をしていることを念頭に置き、むやみに住所や電話番号などの個人情報開示をしないなどの自己防衛策を図ることが大切です。
      以下に、当館でよく取り扱う詐欺事案について紹介します。

ア 国際送金詐欺(いわゆる「ロマンス」詐欺など)
      国内外の「国際交流サイト」等で知り合った外国人にそそのかされ、マレーシアやその他の国々へ国際送金してしまう事 案は、男女・年齢・季節を問わず多数発生しています。本件詐欺は、当地欧米大使館でも多数の相談を受けていることを背景に、自国民に対して注意を呼び掛け ています。
      典型的な犯罪例は、架空の異性(男性の場合、欧米系白人で企業コンサルタント、米国軍人、銀行員等を名乗る事が多い)を名乗り、上述したサイ ト等で被害者を探して架空のプロフィールに基づくメールを送り付け、数週間から2,3か月程度親しくメールを交換して被害者からの信用を得ようとします。
      そして、様々な口実で数十万円程度の送金依頼を行い、被害者が応じると連絡を取らなくなるというものです。
      この種の犯行は、いわゆる「振り込め詐欺」と同様に組織的に行われており、相手方の他に税関職員や宅配業者等、複数の人間が巧妙に役割を分担 して送金を促すケースが少なくありません。従って、交流サイトやSNS等による外国人との交流では、不良外国人による詐欺などのトラブルに巻き込まれる可 能性があることを強く認識いただくようお願いします。
      また、このような詐欺事件においては、一度送金すると更に高額の送金を要求することもあるため、「金銭の貸借や立て替えを依頼するようなメー ルが届いたら、ただちに連絡を絶つ」といった厳しい態度で臨み、金銭の無心には一切応じないことが肝要です。

1.国際送金詐欺(いわゆる「ロマンス」詐欺など)
      国内外の「国際交流サイト」等で知り合った外国人にそそのかされ、マレーシアやその他の国々へ国際送金してしまう事案は、男女・年齢・季節を問わず多数発 生しています。本件詐欺は、当地欧米大使館でも多数の相談を受けていることを背景に、自国民に対して注意を呼び掛けています。
      典型的な犯罪 例は、架空の異性(男性の場合、欧米系白人で企業コンサルタント、米国軍人、銀行員等を名乗る事が多い)を名乗り、上述したサイト等で被害者を探して架空 のプロフィールに基づくメールを送り付け、数週間から2,3か月程度親しくメールを交換して被害者からの信用を得ようとします。
      そして、様々な口実で数十万円程度の送金依頼を行い、被害者が応じると連絡を取らなくなるというものです。
      この種の犯行は、いわゆる「振り込め詐欺」と同様に組織的に行われており、相手方の他に税関職員や宅配業者等、複数の人間が巧妙に役割を分担して送金を 促すケースが少なくありません。従って、交流サイトやSNS等による外国人との交流では、不良外国人による詐欺などのトラブルに巻き込まれる可能性がある ことを強く認識いただくようお願いします。
      また、このような詐欺事件においては、一度送金すると更に高額の送金を要求することもあるため、「金銭の貸借や立て替えを依頼するようなメー ルが届いたら、ただちに連絡を絶つ」といった厳しい態度で臨み、金銭の無心には一切応じないことが肝要です。

2.インターネット・オークション詐欺
      日本国内でネットショップやインターネット・オークションサイトに出品している邦人が、「品物を送付したが代金を支払ってもらえない」、「代金を支払ったのに商品が届かない」等の相談を多数しています。
      商品をだまし取られるケースでは、スマートフォンやデジタルカメラなどの電子機器、貴金属類など容易に換金できるものが狙われています。
      多くの手口では、犯人側は、高額な金額を提示して被害者との直接取引を持ち掛ける、あるいは海外の銀行を偽装した送金受付の文書や電子メールで被害者へ送金したと誤信させ、品物を送らせようとします。
      多くの場合、犯人はEMS(国際スピード郵便)で被害品をマレーシアへ送るよう要求し、EMSの配達状況追跡サービスを悪用して郵便局到着を見計らい、被害品を窓口で直接受け取り逃走している模様です。
      この配送先住所には居住事実がなく、受取時に提示する身分証明書も偽造身分証で人定が判明できないようにしていることがほとんどです。
      したがって、海外との取引に際し、殊更にオークションサイトを通さない直接取引を要求される、銀行口座への入金確認前にも関わらず、あれこれ 理由を付けて「すぐに送って欲しい」等の依頼をうける場合は、ただちに取引を中止するとともに、「これ以上取引を継続する意思はない、必要等あれば警察に 相談する」などと相手方に伝え、これ以上の連絡を断念させて被害を未然に防ぐ必要があります。



【3. テロ・爆弾事件等発生状況】
 【テロ情勢】
       上述のとおり、当地でもISIL関係者によるテロ事件が発生し、8人が重軽傷を負う被害が発生しました(6月28日、クアラルンプール郊 外)。その後も、独立記念日を狙ったテロ事件を企図したとして、3人が逮捕されています。
       マレーシア国家警察は、テロ対策の一環としてISIL関係者の摘発を強力に進めるとともに、軍との共同警戒を国内の各種要衝や観光地で行うなどテロ事件の未然防止を図っています。
       一方で、マレーシアには欧米系資本のホテルや飲食店が多数進出しているほか、特にクアラルンプール市内にはショッピングモールやナイトクラブ 等、欧米はもとより世界各国からの観光客が多数訪れる施設が多数存在します。マレーシア国家警察長官は、年末年始の折、欧米人が多数出入りする各種施設で のテロ事件の発生に警戒を呼び掛けておりますが、これら欧米人観光客を狙ったテロ事件が発生した場合には、在留邦人や邦人旅行者も被害に巻き込まれる可能 性が高いと言えます。
       なお、2013年2月以降、テロ関連容疑でマレーシア国家警察に逮捕された者の人数は、258人に上ります(11月6日現在)。
 【武装勢力の侵入事案(東マレーシア・サバ州)】
       在コタキナバル領事事務所管轄のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区周辺では、2013年2月に数百人規模の武装勢力「スールー王国軍」がフィリピン側から侵入し、鎮圧に数か月を要したという事案が発生しました。
       翌2014年6月には、当該勢力の関係者が複数逮捕され、本年7月下旬には9人に対して終身刑が言い渡されています。
       12月末現在、当該地区に対しては、海外安全情報(旧渡航情報)における危険情報のカテゴリー(4段階)のうち、レベル4(退避勧告)に準じる「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を継続発出中です。


【4. 誘拐・脅迫事件等発生状況】
(1)  【誘拐事件〜サバ州東海岸部における誘拐事件の発生動向】
       在コタキナバル領事事務所管轄のサバ州東海岸部では、かねてから身代金目的の拉致・誘拐事件が頻発しており、2014年4月以降、7件の誘拐 事件が発生しています。なお、本年4月、サバ州東海岸のセンポルナ沖リギタン島において、誘拐されたマレーシア人船員4人については、無事解放されていま す。
       ・2014年4月 
          センポルナ近海(シンガマタ島)外国人旅行者1名、比人従業員1名
       ・2014年5月 
          ラハ・ダトゥ近海(バイキ島)養魚場マネージャー1名
       ・2014年6月 
          クナ近郊(サバン村沿岸)養魚場オーナー1名、比人従業員1名
       ・2014年7月 
          センポルナ近海(マブール島)海上警察官2名(内1名射殺)
       ・2015年5月 
          サンダカン海岸 レストランオーナー1名、客1名
    ・2016年4月 
   センポルナ近海(リギタン島)船員4人
   ・2016年7月 
     ラハ・ダトゥ沖合 船員5人

      各事件には、フィリピン南部に拠点を置く武装集団が関与しているとされ、リゾート施設や養魚場など海に面した場所で被害者を拉致し、高速ボートでフィリピン南部の島へ連れ去っているということです。
      本事案を巡っては、「犯人の一部が逮捕された」等の報道もされていますが、リーダーの逮捕や武装集団の解明など犯行グループを壊滅するには至っていません。
      これら一連の誘拐事件を受け、サバ州東海域では、2014年7月から夜間航行禁止令が継続して発出されており、禁止時間帯に許可なく同海域を通行する船舶 は警察により逮捕された上、罰金又は勾留刑が科されています。
      上述のとおり当該地区については、12月末現在、海外安全情報の危険情報カテゴリー3「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を継続発出中です。
       なお、11月22日、サバ州東部海岸に面するフィリピン南部スールー海域について、広域情報「フィリピン南部スールー海域における商業船舶に対する襲撃事件に伴う注意喚起」
       URL→ http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2016C313.html )を発出しておりますので、これら海域には絶対に立ち入らないようにしてください。
(2)  【脅迫事件】
      地元紙の報道等によりますと、ビジネス絡みのトラブルから脅迫事件に発展してしまう事案がしばしば発生しているということです。
      脅迫事件の場合、いわゆるギャングやマフィアが関係する事案が少なくないことから、まずは「他人から妬みを買わない」、「事件に巻きこまれない」ことを念頭に無用のトラブルを避けることが賢明です。


【5. 対日感情】
        全体的に良好ですが、第二次世界大戦における各種戦役等の記念日、あるいは、いわゆる南京事件や従軍慰安婦をめぐる報道が行われた際には、これらの記念 日・報道等をとらえて各種示威活動を展開する可能性があることを念頭に置く必要があります。


【6. 日本企業の安全に関する諸問題】
        邦人及び現地社員に対する犯罪被害防止対策とともに、他国企業で警備員や社内の者が手引きしたと思われる窃盗事案が発生していることに鑑み、社員及び警備員に関する採用人事や勤務管理等には、特に注意を払う必要があります。


【7. その他】
【当地におけるジカウイルス感染症をめぐる動向】
       マレーシアでは、9月3日に最初のジカウイルス感染者が判明されて以降、8人の感染が確認されています(12月18日付マレーシア保険省発表による)。
       しかし、11月18日、世界保健機関(WHO)が、「ジカウイルスと小頭症及び神経障害に関する第5回緊急委員会」において、「国際的に懸念 される公衆の保険上の緊急事態」の終了を宣言したことを受け、当地に発出されていた感染症危険度の「レベル1:十分注意」も、11月25日に解除されまし た。
       一方で、ジカウイルス感染症は妊娠中又は妊娠予定の女性が感染した場合、母子感染によって胎児に小頭症などの先天性障害を来す可能性がありま す。また、蚊に刺される以外にも性行為によって感染することがあることから、流行地域に渡航または滞在中の皆様におかれましては引き続き十分ご注意くださ い。
                                                                                                                                                                                以上

このページのトップへ戻る

No.11 Persiaran Stonor, Off Jalan Tun Razak,
50450 Kuala Lumpur, Malaysia
Tel: 03-2177-2600