在留邦人の皆様へ

 

重症急性呼吸器症候群(SARS)について(第58報)マレーシア関係とりまとめ)

                          

2003年5月22日

 

在マレーシア日本国大使館

  事  部

 

 マレーシア政府がとった措置及び邦人関係の情報については遂次お知らせてきたとおりです。22日現在までの状況は以下のとおりです(これまで皆様にお知らせしたものをとりまとめたものです)。

なお、マレーシアは感染国ではありません。

 

 SARSに関する情報は保健省のオペレーション・センター(TEL:03-2694-6394または03-2693-8053、ホーム・ページ:http://webjka.dph.gov.my/sars)から得られます。

 

 (日本の厚生労働省よりのお知らせ)重症急性呼吸器症候群(SARS)に関するホットライン

受付曜日及び時間帯、月曜日から金曜日(土日・祝祭日は除く)、午前9:30〜12:00まで、午後1:00〜 5:00まで。(TEL:81-45-474-6039、ホームページ:http://www.johac.rofuku.go.jp)

 

1.マレーシア政府がとった措置

(1)マレーシア政府の発出したSARS流行地域への渡航自粛勧告国・地域

    (イ)中国(全土、香港)

       (ロ)シンガポール

       (ハ)台湾

      

(2)入国管理・入国規制・検疫

 (イ)SARS感染国地域(中国、(全土、香港)、シンガポール、台湾、)から、マレーシアに入国する全ての者は、health declaration formに真実を記載すること。仮に、虚偽の記載をした場合には、1988年の伝染病規則に従い、2年以下の禁固刑及びRM1,000の罰金を科す。5月14日より、以下の入国地点において、サーマル・イメージング装置を配置した。

1)ジョホールバル・コーズウエイ

固定式 2台

移動式 12台

2)同上・第2リンク

同上  1台

同上  12台

3)同上・駅

 

同上  2台

4)クアラルンプール国際空港

同上  3台

同上  2台

5)クチン国際空港

 

同上  1台

6)ペナン国際空港

 

同上  1台

7)ランカウイ国際空港

 

同上  1台

8)コタキナバル国際空港

 

同上  1台

 

(ロ)SARS感染国からマレーシアに到着する乗客他を空港等(ジョホールバル、コーズウエイ及び第二リンクを含む)でSARS感染防止のスクリニーングを徹底するため、国防省の協力を得て、軍医、看護婦等医療従事者を配置する予定である。また、連邦警察官も配置する予定である。右配置の理由は以下のとおり。

1)シンガポール・ジョホールバル間を毎日約10万人がコーズウエイ他を往来しているため。

2)6月から7月にかけて数千名の外国人留学生、外国人労働者(メイドを含む)が感染国・地域から到着するため。

3)特に、シンガポールを訪問して帰国するマレーシア人の中には、コーズウエイ、第二リンク、空港での健康チェックに非協力的な者もいるため。

6月1日及び同2日にサラワク州クチンにおいて開催される予定のガワイ・ダカ・フェステイバルのために、シンガポール、ジョホールバルに出稼ぎに行っている者約2万人が帰省するため。

 

(ハ)入国方法別の措置の状況次のとおり。

             ○ 航空機:

    A)感染国からの旅客に対しては、保健省等の医療従事者が、以下要領(特に、KL国際空港)により厳重にスクリーニングしている。

(a)感染国からの旅客は、全てC21―C27ゲートで降機する。

(b)機中、または、降機後Health Alert Card(SARSに関するパンフレット)及びHealth Declaration Form(申告書)が配布される。

(c)サーマル・イメージングによる検温

(d)申告書に問題がなければ、[screened]のスタンプが押される。申告書に問題があれば、空港内の別室で更なるスクリーニングを行う。問題がある場合には、指定病院での検査を行う。

 

B)非感染国からの旅客に対しては、入国管理手続きの前に、保健省等の医療従事関係者が配置されており、Health Alert card及びHealth Declaration form(申告書)が配布される。その後の手続きは、上記A)(c)以下と同じである。

 

C)SARS感染国から当国への航空機に対し、機内でSARSの兆候のある乗客がいた場合には、同乗客を機内の最後尾の席に隔離し、他の乗客にはマスクをつけさせる。更に機長はSARSの兆候のある乗客がいることを飛行機が着陸する前に飛行場及び保健関係当局に通報する。

 

             ○ 自動車:

                ジョホールバルのコーズウエイ、第2リンクの出入国地点において、自動車(乗用車、タクシー、バス、トラック他)でシンガポールへ出入国する者をスクリーニング。

 

○ 列車:

     列車については、シンガポールからマレーシアに入国する場合には、シンガポールの駅(タンジュン・パガル)で乗客はスクリーニングされてきていたが、マレーシアの駅(ウッドランド)においても、同申告書に記載し、入管当局に提出するようスクリーニングの徹底を開始した。

 

○ 港においてもスクリーニングの措置がとられている。

 (ニ)1)中国、台湾からマレーシアに入国する中国人、「台湾人」は、滞在期間の如何に拘わらず、査証を取得しなければならない。その際中国人は申請時に然るべき医療機関が発給するSARSに感染していないとの健康証明書(有効期間は7日間)を提出した上で、査証取得しなければならない。なお、外国人については、入国時に保健省(係官)が検査し(申告書の提出他)、問題がなければ入国が許可される。

      2)香港(査証免除対象地域)からマレーシアに入国する「香港人」は、飛行機搭乗前に出発前スクリーニング(体温測定等)受けなければならない(外国人も同様)。

 

(3)マレーシア国民等に対する措置

       (イ)警察当局は、SARSに関する情報は、保健省他関係当局に照会・確認するよう勧告するとともに、最近、特にクアラルンプール市内においてSARS情報の噂(Eメール等)が拡大していることについて警告した。警察は関係当局と協力し、情報(E―メール情報源を含む)についての追跡調査を行っている。調査の結果、情報が真実でない場合には、2年の禁固刑及び罰金を科す(1998年、情報及びマルチメデイア法)。または、刑法第505条を適用する。

 

(ロ)保健省は、以下のような場合には、一般の人は3層式外科用マスクをすべきである、N95やN100は高いリスクにさらされる病院関係者用であって、一般の人には必要ない旨発表した。

. 咳等、風邪やインフルエンザの症状がある場合

. スーパーマーケット等混みあっていてかつ閉ざされた場所

. 咳やくしゃみをしている人に接近する場合

. 空港等の国境地点で勤務する場合

. SARS感染の疑いのある者が病院のスクリーニング部局から隔離病棟に移動する場合

なお、マスクは一度使用したらビニール袋等に封入し捨てること。

 

(ハ)SARS感染の可能性のために自宅隔離を命ぜられ、それに違反したものについては、2年の禁固及び罰金RM1万を科す(1998年伝染病防止及び管理法)。なお、自宅隔離中に外出が必要な場合には、最寄りの保健所からの許可が必要である。

 

(4)外国人労働者・留学生

(イ)SARS感染国からマレーシアに入国する予定の労働者(メイドを含む)、全ての外国人留学生に対し、SARSウイルスを国内に持ち込まないことを確保するため、SARSに関するスクリーニングを実施する他、到着時から10日間隔離する。右実施開始は5月13日からである。なお、詳細は以下のとおり。

A)感染国からマレーシアに入国する労働者、留学生は、感染国出発時のスクリーニングを受け、マレーシア入国時にSARSに感染していない健康証明書(7日間有効)を携行すること。また、入国の際には、Health Declaration Card(申告書)を記載すること。

     B)隔離期間中は、労働者、学生は毎日、健康診断を受けること。

C)雇用主、教育機関(留学生を受け入れる機関)は、それぞれ隔離場所を提供し、毎日彼等を監視すること及び費用は雇用主、教育機関が負担すること。

 

(ロ)非感染国からマレーシアに入国する外国人留学生は、入国の際に、Health Declaration Card(申告書)を記載すること。但し、最近、感染国にトランジットまたは訪問したことがある場合には、10日間隔離されることとなる。

 

(ハ)感染国に留学中のマレーシア人留学生が、休暇等で帰国する際には、隔離される可能性があるが、感染国出発時のスクリーニングを受け、SARSに感染していない健康証明書(7日間有効)を携行すること。また、入国の際に、Health Declaration Card(申告書)を記載すること。

 

(5)大学・カレッジの学生

保健省は、大学、カレッジの新学期開始時(6月1日の予定)に、各大学、カレッジに、保健省係官によるSARSカウンターを設置し、学生に対し指導等を行う予定である。詳細は次のとおり。

(イ)6月1日までにSARS感染国を訪問し、SARSの症状がある場合には、直ちに病院に入院する手続きを行う。

(ロ)SARS感染国を訪問したが、SARSの症状はないが、健康診断を受ける手続きを行う。

(ハ)SARS感染国を訪問しなかった場合、SARSに関する説明を行う。

 

2.邦人関係

(1)4月4日、感染した疑いのある者の52名の中に日本人1名が含まれている旨の報道があったので、保健省に確認したところ、同日本人(旅行者)は、3月20日、プトラジャの国立病院で検査の結果単なる風邪と判明し、3月21日帰国した。

 

(2)当地在留邦人(男性、40歳代)は、シンガポールに2月24日に1泊し当地に戻った。その後何の症状等もなかったが、4月7日(月)頃から、微熱があり風邪の症状があった。4月10日(水)クリニックへ行き、レントゲン等検査を受け、同12日(土)に肺炎であるが、SARSの疑いもあるので、当地総合病院で検査を受けるようとのことであったので、同病院へ行った。

 同病院で12日から14日までレントゲン等検査を受けた結果、14日にSARSではなく通常の肺炎と診断された。4月14日グレンイーグルス病院に転院し治療を受け4月23日に退院し、現在自宅療養中である。

 

                 (3)4月24日トランスマイル貨物航空副操縦士(男性、30歳)がSARSに感染した可能性が高いとして、ペナン総合病院に隔離された。同操縦士と同じホテルの同階に宿泊していた邦人2名を含む計9名(内訳:乗務員4名、宿泊客5名(中2名が邦人出張者))が自宅・ホテルのサービス・アパートメント棟等に隔離されていたが、5月3日隔離を解かれた。邦人は2名共5月7日帰国した。

                 

(4)4月23日から5月10日までシンガポールを訪問していた邦人旅行者(男性、19歳)が、5月10日クアラルンプール経由帰国途次に同空港で体温測定の結果、38℃の熱があったため、SARSの疑いがあるかどうか更に検査するため、同空港より救急車にてクアラルンプール総合病院に搬送された。同人は5月21日退院し、5月22日帰国予定した。

 

 

参考

(1)我が国外務省の渡航情報発出国地域

●中国全土:(河北省、広東省、北京市、天津市、山西省、内モンゴル自治区及びアフガニスタン国境から100キロの範囲内の地域を除く)

――――――――――――――――――― 十分注意して下さい

●中国:河北省、北京市、天津市、広東省、山西省 ― 渡航の是非を検討して下さい

●香港 ―――――――――――――――――― 渡航の是非を検討して下さい

    内モンゴル自治区 ―――――――――――- 渡航の是非を検討して下さい

    マカオ ――――――――――――――――- 十分注意して下さい

●シンガポール ――――――――――――――――― 十分注意して下さい

台湾 ―――――――――――――――――――――  渡航の是非を検討して下さい

 

(2)WHOの渡航情報発出国地域

    中国:吉林省、河北省、北京市、天津市、広東省、山西省 

――――――――――――――――――――――――― 渡航を延期して下さい

○ 香港 ―――――――――――――――――- 渡航を延期して下さい

    内モンゴル自治区――――――――――――- 域内感染地域に指定 

○シンガポール ――――――――――――――――ー 域内感染地域に指定

            ○台湾 ――――――――――――――――――――― 渡航を延期して下さい