【新型コロナウイルス】非常事態勅令による感染症予防管理法の一部改正「2021年7月21日付で失効」

令和3年3月3日
●2月25日、マレーシア国王が、非常事態勅令に基づき感染症予防管理法の一部を改正しました。
 
●これまで規則違反への徴収金は改正前第25条に基づき最大1,000リンギットとされていましたが、本改正により、個人で10,000リンギット、法人で50,000リンギットへと大幅に引き上げられておりますので、各規則への遵守徹底にご留意ください。
 
以下はマレーシア国王が公布した「勅令による感染症予防管理法の一部改正」を、当館が日本語に仮訳したものです。更なる改正がある可能性がありますが、その点ご留意の上ご参照ください。
 
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本勅令は、マレーシアにおけるCOVID-19パンデミックの影響を鑑み、国王が「1988年感染症予防管理法」の速やかな改正が必要と判断したことから、マレーシア憲法第150条(2B)に基づき公布するものである。
 
第1条 呼称と適用
(1)本規制は「Emergency (Prevention and Control of Infectious Diseases) (Amendment) Ordinance 2021」と呼称する。
(2)これらの規制は2021年3月11日から有効。


第2条 法第2条の改正
「1988年感染症予防管理法」(以下、法という。)第2条を以下のとおり改正する。
 
  1. 「衛生検査官(health inspector)」の定義を削除する。
  2. 「権限を与えられた公務員(authorized officer)」の定義中、「いずれの衛生検査官又は公務員(any health inspector, or any officer)」を「いずれの環境衛生担当官又は適切な者(any Environmental Health Officer, or any suitable person)」に改める。
  3. 「disinsecting」の定義の後に「「環境衛生担当官(Environmental Health Officer)」とは、環境衛生担当官補佐を含む政府または地方自治体の環境衛生担当官を意味する」の一文を追加する。
 
第3条 法第10条の改正
法第10条第2項を以下のとおり改正する。
 
  1. 「又はそのことを知った(or becomes aware of)」の後に「あるいは信じる又は疑う理由がある(or has reason to believe or suspect)」という文言を挿入する。
  2. 「この法律に基づき定められた形式で(in the form prescribed by regulations made under this Act)」を「医務技監の定める任意の形式で(in any form as determined by the Director General)」に改める。

第4条 法第15A条の新設
法第15条の後に以下を挿入する。
 
第15A条 追跡装置の装着命令(Order for wearing tracing device)
(1)権限を与えられた公務員は、感染している者、感染していると信じるに足る理由のある者、または濃厚接触者に対して、追跡装置の着用を命じることができる。
(2)前項の追跡装置には、リストバンドまたは権限を与えられた公務員が提供する装置を含む。
(3)追跡装置を破壊し、破損し、紛失し、または改ざんした者は違法となる。
 
第5条 法第21A条の新設
法第21条の後に以下を挿入する。
 
第21A条 医務技監の指示(Directions of Director General)
(1)医務技監は、一般的であるか具体的であるかを問わず、いかなる個人または集団に対しても、感染症の予防及び管理を目的とした措置を執るよう任意の指示を出すことができる。
(2)前項に基づき出された医務技監の指示に違反した者は違法となる。
 
第6条 第4A節の新設
法第4節の後に以下を挿入する。
 
第4A節 施行(PART IVA ENFORCEMENT)
 
第21B条 逮捕可能な犯罪(Seizable offence)
同法の下で処罰される全ての犯罪は、逮捕可能な犯罪とする。
 
第21C条 調査権限
権限を与えられた公務員は、刑事訴訟法に基づき、感染症予防管理法に基づく捜査を遂行するために必要な全ての権限を有する。
 
第21D条 情報提供に係る権限
権限を与えられた公務員は、いかなる者に対しても、感染症の予防及び管理に関する情報の提供を要求することができる。
 
第21E条 逮捕権
(1)書面で保健大臣の権限を与えられた職員は、同法に基づく違反を犯した、または犯そうとしていると合理的に信じる者を逮捕することができる。
(2)前項の目的のために、刑事訴訟法が適用される。
 
第7条 法第22A条の新設
法第22条の後に以下を挿入する。
 
第22A条 法人による違反(Offences by body corporate)
(1)法人が同法に基づく違反を犯した場合、違反を犯した時点で、法人の管理者(Director)、最高経営責任者(chief executive officer)、最高業務執行責任者(chief operating officer)、取締役(manager)、総務担当重役(secretary)その他これらに類する役員であった者、またはこれらの職能で行動すると称していた者、法人の業務の管理に何らかの方法で相応の責任を負っていた者、またはこれらを援助していた者は、
  1. 同法人の手続と連帯又は共同して起訴され得る。
  2. もし同法人による違反が認められた場合には、同人の職能及びあらゆる状況に関し、以下を証明できない限り、同人は法人同様に違反とみなされ、罰則の対象となる。
(ⅰ)同人の知識、同意又は共謀なしに違反が行われたこと
(ⅱ)当該違反を防止するために、同人があらゆる合理的な予防措置を執り、相当の注意を行ったこと。
(2)同法の下で、その行為(act)、不作為(omission)、不履行(neglect)又は怠慢(default)に対する刑罰を受ける責任を負う者がいる場合、その者は、その行為等が従業員、代理人、またはその代理人の従業員が行われたものであったとしても、同じ刑罰を受ける責任を負うものとする。
 
第8条 法第24条の改正
法第24条を以下のとおり改正する。
 
第24条 一般的な罰則(General penalty)
同法の下で、罰則が明示されていない違反を犯した者であって、有罪が確定した場合には、100,000リンギットを超えない罰金若しくは7年以下の懲役又はそれら両方が課される。
 
第9条 法第25条の改正
法第25条を以下のとおり改正する。
 
第25条 違反の徴収金の徴収(Compounding of offences)
医務技監又は医務技監により書面で権限を与えられた職員は、検察官の書面による同意を得て、起訴される前であればいつでも、個人で10,000リンギット、法人で50,000リンギットを超えない場合、同法又は同法に基づく規則で徴収金の徴収が可能な違反として規定されている違反の徴収金を徴収することができ、違反を犯したと合理的に疑われる者に医務技監への支払いを書面で申し出ることができる。
 
第10条 法第31条の改正
法第31条第2項の後に以下を挿入する。
 
(3)同法に基づくいずれの規則でも違反を規定することができ、その場合の罰則規定は50,000リンギットを超えない罰金若しくは6か月以下の懲役又はそれら両方とする。
 
<官報原文(マレー語、英語)>
http://www.federalgazette.agc.gov.my/outputp/pua_20210225_PUA%2076.pdf
 
<参考:マレーシア憲法>
http://www.agc.gov.my/agcportal/uploads/files/Publications/FC/FEDERAL%20CONSTITUTION%20ULANG%20CETAK%202016.pdf
 
<参考:1988年感染症予防管理法>
http://www.agc.gov.my/agcportal/uploads/files/Publications/LOM/EN/Act%20342%20-%20Draf%20Bersih.pdf