2月10日に日本大使公邸において、堀江大使による「日本の新成長戦略と2009年の日本・マレーシア貿易投資関係」と題する記者ブリーフを行いました。
1.日・マレーシア租税協定改正議定書の署
名
本10日、マレーシア・プトラジャヤにおいて「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定を
改正する議定書」の署名が、堀江大使とアワン第二財務副大臣との間で行われた。
2.日本の新成長戦略
昨年、日本では政権交代という大きな変化があった。「新成長戦略」は鳩山新政権が新しい日本を創っていくために策定された基本方針であり、今年の6月頃に
詳細な計画が完成する予定である。第二次世界大戦後の日本の経済成長はめざましく、世界第二位の経済大国となったが、90年代には所謂「失われた10年」
を経験し、また、成功した長寿国であるが故の少子高齢化という大きな課題を抱えている。鳩山新政権は「コンクリートから人へ」というスローガンの下、行き
過ぎた公共事業依存という道からの脱却を標榜し、また、市場原理主義の道も選択しない。この新成長戦略が目指しているのは第3の道であり「需要からの成
長」である。需要の創出分野としては、鳩山首相が温室効果ガス25%削減宣言で大きく注目された「環境・エネルギー」、世界に誇る長寿国であり続けるため
の医療や介護といった「健康」、成長を続ける「アジア」及び日本全体のバランスの取れた発展を目指すための「観光・地域活性化」であり、これらを支えるプ
ラットフォームとしての「科学技術」と「雇用・人材」を加えた6分野が新成長戦略の柱である。
3.2009年の日・マ貿易投資関係
マレーシアの輸出先としての日本は05年から08年まで3位をキープしていたが、09年は約544億リンギで4位に後退した。マレーシアの輸入元しての日
本は05年から07年まで1位、09年は約543億リンギで08年と同様に2位となった。この結果、09年の輸出入の総計では貿易相手国としての日本は4
位に後退することとなったが、これはリーマン・ショック以降の世界経済危機の影響も大きく、今年の日・マ貿易は改善すると確信している。
世界経済
危機の下、マレーシアへのFDIが半減する中、09年の日本の直接投資は70億リンギ強と大きく、再び日本がトップインベスターとなった。09年は外国人
労働者の削減等、日系企業にとって問題が数件出てきたが、マレーシアの国際貿易産業省や人的資源省に説明し、理解を得ることができた。外国人投資家にとっ
てマレーシアは、インフラや政治的・経済的安定性、質の高い労働力、英語能力の高さ、人種的・文化的多様性といった利点がある。逆に問題点については、当
然個々の企業で異なるものであるが、外国人労働者雇用規制やブロードバンドの更なる普及、半島部での天然ガスの追加供給、ハイジャック等の治安問題、電気
供給の不安定性といった課題があり、これらを解決すればより多くのFDIを引きつけるであろう。マレーシア政府が推し進める新経済モデル達成のためにも、
日本からの直接投資が増加することを望んでいる。
【配付資料】
○新成長戦略
○日本・マレーシアの貿易・投資
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