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年末年始に海外に渡航する皆様へ(海外で注意すべき感染症について) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成22年12月28日
在マレーシア日本国大使館 領事部 年末年始の期間には、多くの方が海外 へ渡航されることと思いますが、 海外滞在中に感染症にかかることなく、安全で快適に旅行し、無事に帰国 するために、現在、海外で注意すべき感染症及びその予防対策について、 以下のとおりお知らせいたします。 感染症にかからないようにするためには、感染症に対する正しい知識と 予防方法を身につけることが重要です。渡航先や渡航先での行動内容によ って異なりますが、最も感染の可能性が高いのは、食べ物や水を介した消 化器系の感染症です。また、動物や蚊・ダニなどが媒介する感染症は、日 本での発生は少ないものの海外で流行している地域もあり注意が必要です。また、WHOが排除又は根絶を目指している麻疹(はしか)、ポリオは、日本での 感染者が減少傾向又は発生が認められていないものの、諸外国では未だに流行しています。 海外渡航を予定されている方は、渡航先での感染症の発生状況に関する 情報を入手し、予防接種が受けられる感染症については、余裕をもって相談しておくなど、適切な感染予防に心がけてください。 なお、日本の空港や港の検疫所では健康相談を行っています。帰国時に発熱や下痢等、具合が悪い場合にはお気軽に検疫所 係 官にご相談ください。 感染症には潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)が長いものも あり(数日から1週間以上)、帰国後しばらく経過してから具合が悪くな ることがあります。その際は早急に医療機関を受診し、渡航先、滞在期間、飲食状況、渡航先での行動、家畜や動物との接触の有無などについて必ず伝えてく ださい。
渡航先(国・地域)や渡航先での活動によって、感染する可能性のある感染症は大きく異なりますが、世界的に蚊を媒介した感染症が多く報告されていま す。特に熱帯・亜熱帯地域ではマラリア、デング熱、チクングニヤ熱などに注意が必要です。 (1)マラリア 毎年世界中で約2億5000万人以上の患者、80万人以上の死亡者がいると報告されています。日本では、海外で感染して帰国される方(輸入症例)が 毎年百数十人報告されています。
(2)デング熱、デング出血熱 世界中で25億人が感染するリスクがあり、毎年約5,000万人の患者が 発生していると考えられています。 日本では、海外で感染して帰国される方(輸入症例)が毎年約100人 報告されています。2010年に入ってからも、すでに224人の患者が確認 されており、インド、フィリピン、インドネシアでの感染事例が増加し ていますので注意が必要です。
(3)チクングニヤ熱 アフリカ、東南アジア、南アジアの国々で流行しており、2006年には インドで約140万人の感染者が報告されています。 日本では、2009年、海外で感染して帰国後にチクングニヤ熱と診断さ れた事例として、インドネシアからの5人、マレーシアからの2人、イン ドからの1人、タイからの1人、ミャンマーから1人の、合計10人が確認 されています。2010年もインドネシアからの輸入症例が確認されています。
(4)ウエストナイル熱・脳炎 ウエストナイルウイルスが原因の熱性感染症です。このウイルスは、 鳥と蚊の間で維持されている感染症です。北米地域だけで毎年数千人の 感染者が報告されています。 米国での流行は、例年蚊の活動が活発になる7月頃から始まり、年末 まで報告が続くのが特徴です。
(5)クリミア・コンゴ出血熱 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスが原因の熱性出血性感染症です。 このウイルスは、ヒツジなどの家畜とダニの間で維持されています。 死亡率の高い感染症で、北半球では、4月から6月に流行します。 特に、最近トルコでクリミア・コンゴ出血熱の報告が増加しています。
動物から感染する感染症のうち、現在、日本での発生はありませんが、 海外で発生し、人に重篤な症状を起こす感染症について紹介します。また、 野生動物はどのような病原体を持っているかわからないことが多く、 重篤な感染症の病原体を持っている可能性もあることから、海外でむやみに 野生動物や飼い主がわからない動物に触れることはやめましょう。 (1)鳥インフルエン ザ(H5N1) H5N1亜型インフルエンザウイルスを病原体とする鳥インフルエンザ(H5N1)は、 東南アジアを中心に家きん(ニワトリ、アヒルなど)で発生しています。 人は、感染した家きんの解体調理、飼育小屋などの閉鎖的な空間において飼育されている 家きんとの接触、家きんの臓器、体液、糞などと濃厚に接触することによって本ウイルスに 感染することがあります。 人が感染した場合には、重篤な症状となることが多く、世界保健機関(WHO)によると、2003年11月から2010年12月9日までに世界15か 国で510人の発症者(うち死亡者303人)が報告されています。 今年も、新たな患者がエジプト、ベトナム、インドネシア、カンボジア、香港で確認されています。
(2)狂犬病 狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症です。人は、感染動物(アジ アでは主として犬)に咬まれることよって唾液からウイルスに感染し、 長い潜伏期の後に発症します。発症すると有効な治療法は無く、ほぼ 100%死亡します。世界における死者数は毎年5万5千人といわれていま す。感染動物に咬まれても、直ちに狂犬病ワクチンを接種することによ り発症を防げます。 日本では、2006年にフィリピンで犬に咬まれ帰国後に発症し、死亡し た事例が2例報告されています。 狂犬病流行地で犬などの動物に咬まれたら、すぐに傷口を石けんと水 でよく洗い、できるだけ早く現地の医療機関を受診し、傷口の消毒や狂 犬病ワクチンの接種を受けましょう。帰国時には検疫所に申し出て、指 示を受けてください。 2008年11月には、それまで狂犬病の発生がないとされていたインドネ シアのバリ島で犬に狂犬病が発生し、発病した犬にかまれた住民が狂犬 病で死亡しています。バリ島での狂犬病流行は継続しており、現在も死 亡者が確認されています。また、2010年2月のニューヨーク市保健精神 衛生局の発表では、米国ニューヨークのセントラルパークでアライグマ の狂犬病感染が確認されています。現在、狂犬病ワクチンをアライグマ に接種することで、他の動物への感染拡大による人への感染のリスクを 減らそうとしています。
(3)エボラ出血熱 主にアフリカで流行している急性熱性疾患の感染症であり、現在ま で、アフリカ西部のコートジボワールとアフリカの中央部で発生してい ます。2000年から2001年にはウガンダでの、2001年から2002年にはガボ ンとコンゴ共和国の国境地帯での流行が報告されています。これらの地 域では、毎年のように流行が発生しています。 また、スーダンでも流行が発生しています。
(4)マールブルグ病 マールブルグ病はエボラ出血熱とともに、ウイルスによる発熱性出血 熱を特徴とする感染症であり、アフリカのケニア、ジンバブエ、コンゴ 民主共和国、アンゴラなどで発生しています。2008年には、オランダや 米国からの旅行者が、ウガンダの洞窟に入り、帰国後にマールブルグ病 を発症し死亡した事例が報告されています。大きな流行になる場合もあ りますので御注意ください。
WHOは、麻疹については「麻疹排除計画」により、ポリオについては 「ポリオ根絶計画」により、感染者の減少に取り組んでおります。日本に おいては、麻疹は2010年1月以降11月21日までに、417人の患者が報告され ています。 また、ポリオについては、30年近くにわたり野生株によるポリオ症例は 発生していませんが、今後、流行地からの輸入症例に留意する必要があり ます。 (1)麻疹(はしか) 世界中で年間164,000人以上の麻疹による死者がいると推計され、主 に東アジア、南アジアの国々から報告されています(WHOによる2008年 時点の推計)。
(2)ポリオ 2009年には、世界で1,604人の患者が報告されました(WHO世界ポリオ 根絶計画事務局による集計)。日本では、30年近くにわたり、野生株に よるポリオ症例は発生していませんが、ポリオ流行地で感染し、帰国後 に発症する事例(輸入症例)に留意する必要があります。
上記のほかにも、動物、水、食べ物等を通じて感染する病気が多く存在 します。特に、食べ物や水を介した感染症として、A型肝炎、コレラ、赤 痢、腸チフスなどは、途上国など公衆衛生の整備などが不十分な地域で感 染することが多い感染症です。このような地域では、生水、氷、サラダ、 生鮮魚介類等の十分に加熱されていない物の飲食は避けましょう。 詳細は厚 生労働省ホームページを参照ください。
出発前に渡航先の感染症の流行状況等に関する情報を入手しておくこと が大切です。厚生労働省検疫所及び外務省では、以下のとおりホームペー ジで各国の感染症や安全に関する情報を提供しています。また、空港や港 の検疫所においても、リーフレット等を用意し情報提供を行っていますの で、積極的にご活用ください。
○外務省領事局政策課(医療情報) 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850 ○外務省領事サービスセンター(海外安全担当) 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1 電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902 ○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/ http://www.anzen.mofa.go.jp/i/ (携帯版) |
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