【1.治安情勢及び一般犯罪の傾向】 |
マレーシア国内における2012年中の犯罪発生認知件数(除く知能犯罪、薬物犯罪等)は、153,669件で、前年比マイナス12,626件となりま
したが、殺人事件は602件と発生率は日本の約2.7倍、強盗事件は20,140件と発生率は日本の約25倍であり、日本と比較すると未だ厳しい治安情勢
にあります。
なお、統計上の改善傾向に反し、殺人事件や持凶器集団強盗事件等の凶悪犯罪が頻発するなど体感治安は悪化しており、邦人被害に係る窃盗、強盗事件も依然
として多数発生しているため、防犯対策には十分な注意を払う必要があります。
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【2.一般犯罪・凶悪犯罪の事例・手口】 |
【邦人被害事件】
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在留者、旅行者を問わず、多数の邦人が、ひったくり、置き引き、車上狙い等の窃盗被害
に遭っているほか、下記の様な事案も発生しています。
ア 強盗被害
(路上強盗事件) |
11月2日午前3時頃、30代の邦人男性がLCCターミナル行きの早朝バスを利用するため、宿泊ホテルからKLセントラル駅まで徒歩にて移動中、突然
現れたバイク3台(各2名乗車)に取り囲まれ、降りてきた男6名からナイフや鎌等を突きつけられ、足蹴にされる等して、所持していたバック(現金・クレ
ジットカード入り財布、パスポート等在中)及びズボンの前ポケットに入れていたスマートフォンを強奪される事案が発生しました。犯人は未だ検挙されておら
ず、引き続きの警戒が必要です。 |
イ 強盗被害
(商店前での強盗事件) |
11月23日、午後2時40分頃、クアラルンプール日本人学校近くアラ・ダマンサラに所在する商店前において、邦人女性が店舗から出て、直近に駐車した車
両に向かおうとした際に、突然現れた男(フルフェイスヘルメット着用)が、いきなりパラン刀を振りかざしてきたため、咄嗟にその場にうずくまったところ、
左肩に掛けていたショルダーバッグ(財布、免許証等在中)を強奪される事案が発生しました。犯人は未だ検挙されておらず、引き続きの警戒が必要です。 |
ウ 国際送金詐
欺 |
日本在住の邦人が、インターネットを通じて知り合った人物から様々な名目でマレーシアへの国際送金を依頼され、多額の現金を騙し取られる被害が多発し
ています。代表的な例は、フェイスブック等のSNSを通じて親しくなった異性から、税関での罰金・保釈金や治療費名目等で送金を懇願され、ウェスタンユニ
オン等の国際送金サービスを通じて日本からマレーシア宛に送金してしまうものです。犯行は組織的に行われ、交際相手(架空の人物)の他、税関職員や宅配業
者等、巧妙に役割分担を行って送金を促し、一度でも送金すると更に高額の送金を要求してきます。
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【3.テロ・爆弾事件発生状況】 |
【武装勢力の侵入
事案】 |
2月中旬にコタキナバル出張駐在官事務所管轄のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区ほかにおいて、「スールー王国軍」と称する数百人規模の武装勢力がフィリピン
側から侵入する事案が発生し、当地治安部隊が空爆を含む制圧作戦を実施したことから、武装勢力及び治安部隊の双方に多数の死傷者が出ました。6月末、同制
圧作戦は完了しましたが、東サバ治安司令部による作戦が継続されています。同地区ほかに対しては、12月末現在においても渡航情報「渡航の延期をお勧めし
ます。」等を継続しており、引き続き十分な警戒が必要です。 |
【4.誘拐・脅迫事件発生状況】 |
【外国人襲撃・誘拐事件】 |
11月15日、コタキナバル出張駐在官事務所管轄のサバ州東海岸部センポルナ地区近海のポンポン島において、同島に所在する施設に宿泊していた外国人旅行
者が、武装グループに襲撃され、1名が射殺、1名が誘拐される事件が発生しました。誘拐された外国人旅行者は、誘拐から約1ヶ月経過した同年12月20日
にフィリピン南部Joro島においてフィリピン政府治安当局によって身柄を保護されましたが、犯行グループの逮捕等には至っていません。同地区ほかに対し
ては、12月末現在においても渡航情報「渡航の延期をお勧めします。」等を継続しており、引き続き十分な警戒が必要です。
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【5. 対日感情】 |
全体的に良好ですが、終戦記念日前等の時期や尖閣諸島問題をとらえ、一部華人系新聞に反日的な記事が散見されることがあるほか、11月16日には、日系企
業が出資するレアアース精製事業に反対するとして、環境保護団体による抗議活動(40名程度)が大使館前路上にて行われました。
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【6. 日本企業の安全に関する諸問題】 |
一般的に窃盗や強盗等の被害にあわないように十分注意する他、会社内部の者や警備員が手引きしたと思われる被害も発生していることから採用、人事、勤務管理等に注意を払う必要があります。
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