【1.治安情勢及び一般犯罪の傾向】 |
マレーシア国内における2013年中の犯罪発生認知件数(除く知能犯罪、薬物犯罪等)は、147,062件で、前年比マイナス6,607件となりまし
たが、殺人事件は627件と前年比25件増、発生率は日本の約2.9倍、強盗事件は20,331件と発生率は日本の約26倍であり、日本と比較すると未だ
厳しい治安情勢にあります。 なお、統計上の改善傾向に反し、殺人事件や持凶器集団強盗事件等の凶悪犯罪が頻発するなど体感治安は悪化しており、邦人被害に係る窃盗、強盗事件も依然として多数発生しているため、防犯対策には十分な注意を払う必要があります。
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【2.一般犯罪・凶悪犯罪の事例・手口】 |
【邦人被害事件】
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在留者、旅行者を問わず、多数の邦人が、ひったくり、置き引き、車上狙い等の窃盗被害
に遭っているほか、下記の様な事案も発生しています。
ア 窃盗被害
(スリ件) |
2月14日、午後1時30分頃、KLCC内の日系百貨店食品売り場にて、ベビーカーに子供を乗せて買物中の邦人女性が、50歳くらいの男性(一見日本人
風)にベビーカーの前を塞がれ、一時動けなくなっていた後に、不審に思い、たすき掛けにしていたショルダーバックを確認したところ、チャックが開けられて
おり、中に入れていた財布(現金、クレジットカード在中)が無くなっていたという事案が発生しました。犯人は未だ検挙されておらず、同所ほかで常習的に犯
行に及んでいるものと見られることから、引き続き警戒が必要です。 |
イ 国際送金詐
欺(ロマンス詐欺) |
日本在住の邦人が、インターネットを通じて知り合った人物から様々な名目でマレーシアへの国際送金を依頼され、多額の現金を騙し取られる被害が依然とし
て多発しています。代表的な例は、フェイスブック等のSNSを通じて親しくなった異性から、税関での罰金・保釈金や治療費名目等で送金を懇願され、ウェス
タンユニオン等の国際送金サービスを通じて日本からマレーシア宛に送金してしまうものです。犯行は組織的に行われ、交際相手(架空の人物)の他、税関職員
や宅配業者等、巧妙に役割分担を行って送金を促し、一度でも送金すると更に高額の送金を要求してきます。
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【3.テロ・爆弾事件発生状況】 |
【武装勢力の侵入
事案】 |
昨年2月中旬にコタキナバル出張駐在官事務所管轄のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区ほかにおいて、「スールー王国軍」と称する数百人規模の武装勢力がフィ
リピン側から侵入する事案が発生し、当地治安部隊が空爆を含む制圧作戦を実施したことから、武装勢力及び治安部隊の双方に多数の死傷者が出ました。同年6
月末、同制圧作戦は完了しましたが、東サバ治安司令部による作戦が継続されています。同地区ほかに対しては、3月末現在においても渡航情報「渡航の延期を
お勧めします。」等を継続しており、引き続き十分な警戒が必要です。 |
【4.誘拐・脅迫事件発生状況】 |
【外国人襲撃・誘拐事件】 |
昨年11月、コタキナバル出張駐在官事務所
管轄のサバ州東海岸部センポルナ地区近海のポンポン島において、同島に所在する施設に宿泊していた外国人旅行者が、武装グループに襲撃され、1名が射殺、
1名が誘拐される事件が発生しました。誘拐された外国人旅行者は、誘拐から約1ヶ月経過した同年12月20日にフィリピン南部Joro島においてフィリピ
ン政府治安当局によって身柄を保護されましたが、犯行グループの逮捕等には至っていません。同地区ほかに対しては、3月末現在においても渡航情報「渡航の
延期をお勧めします。」等を継続しており、引き続き十分な警戒が必要です。 ※ 同サバ州東海岸部センポルナ地区近海では、4月2日、シンガマタ島のリゾートホテルにおいて、中国人観光客1名及びフィリピン人従業員1名が、武装集団に誘拐される事件が発生しており、引き続き十分な警戒が必要です。 |
【5. 対日感情】 |
全体的に良好ですが、終戦記念日前等の時期や尖閣諸島問題をとらえ、一部華人系新聞に反日的な記事が散見されることがあります。
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【6. 日本企業の安全に関する諸問題】 |
一般的に窃盗や強盗等の被害にあわないように十分注意する他、会社内部の者や警備員が手引きしたと思われる被害も発生していることから採用、人事、勤務管理等に注意を払う必要があります。
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