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海外安全対策情報(平成29年1月〜3月)

【1.治安情勢概説】
 (1)  2016年中の犯罪発生状況
       2016年のマレーシア国内の犯罪届出件数は112,354件(前年比3,707件減)でした。このうち、「殺人」は456件(同43件 減)、「強盗(集団強盗及び銃器を使用した強盗を含む)」は14,453件(同705件増)、「強姦」は1,886件(同161件減)、すり・置き引きや ひったくりなどの「街頭犯罪」は17,333件(同1,299件増)でした。
       各数値を精査すると、犯罪届出件数自体は減少しているものの、街頭犯罪や強盗など日常生活で遭遇する可能性のある犯罪は増加していることか ら、在留邦人をはじめ当地を来訪する皆様にあっては、犯罪に遭遇しないための各種対策を講じる必要があります。
       当地で注意すべき犯罪は、第一に空港・駅・バスターミナルや商業地・観光スポットなど、人が多く集まる場所での「すり・置き引き」や「ひった くり」です。これらの犯罪は、日本のように単独又は二人乗りのバイクによって敢行される手口の他、昼食時等にいわゆる「歩きスマホ」に興じていて、背後か らスマートフォンを奪い取られる手口も報告されています。
       また、自動車運転時に注意すべき犯罪被害としては、信号待ち・交通渋滞等で一時停車中の自動車にバイクが後方から接近し、追い抜きざまに助手 席等の窓ガラスを破壊し、助手席や後部座席に置いているバッグ・衣服等を強奪し、そのまま逃走する「スマッシュアンドグラブ:Smash and Grab」と称する手口が多発しています。この手口はクアラルンプール(KL)市内をはじめマレーシア各地で発生しており、助手席にはバッグや衣服を置か ない、窓ガラスには防犯フィルムを貼る等の予防策を講じることが重要です。
       この他、白タクドライバーや配車アプリ車両のドライバーによる犯罪被害相談も、大使館には寄せられています(強盗事案や女性利用者に対する不審動向など)。

 (2)  テロ情勢
       マレーシア国家警察は、2013年2月以降、ISIL関係者を294人逮捕するとともに、シリアに渡航した87人のマレーシア人については、 30人が戦闘等で死亡し57人がなお生存中であることを把握しています。また、国内主要交通機関や大規模商業施設、観光地等では、警察と軍による共同パト ロールを実施するとともに空港・税関での検査を強化し、併せて国民にテロへの警戒を呼び掛けています。
       なお、1月から4月にかけて各国では、1月1日、ナイトクラブでの銃撃事件(トルコ・イスタンブール:39人死亡)、2月13日、政府への抗 議デモ実施中の自爆テロ(パキスタン・ラホール:13人死亡)、3月18日、空港で兵士の銃を奪い射殺(仏パリ、1人死亡)、3月22日、観光地での自動 車暴走とナイフによる警察官殺傷(英ロンドン:5人死亡)、4月3日、地下鉄で爆発事件(ロシア・サンクトペテルブルグ:14人死亡)、4月7日、繁華街 でのトラック暴走(スウェーデン・ストックホルム:4人死亡)4月20日、市内中心部大通りでの発砲(仏パリ・警察官1人が死亡)等の事件がそれぞれ発生 しています。

 (3)  邦人の皆様へのお願い
       在留邦人及び邦人旅行者の皆様におかれては、外国では言語、法制度、警察組織や犯罪捜査手続など、あらゆる事象が日本と異なること、また、万 が一犯罪に巻き込まれた場合でも、日本の警察が行うようなきめの細かい事件対応は期待できないことをよくご理解下さい。
       その上で、「犯罪に巻き込まれない」ように注意すること、また、万一犯罪に巻き込まれた場合でも、「身体の安全を第一に行動すること」が出来るよう、心の準備と必要な安全対策を講じて下さい。
       併せて、空港や駅などの交通の要所や外国人観光客が多数集まる名所・旧跡、大規模商業施設では、外国人観光客を狙った銃乱射事件や爆弾テロ事 件が発生し、被害に遭遇する可能性が十分あることも念頭に置いて行動して下さい。
       なお、5月27日から6月25日までのラマダン期間中は、マレーシアをはじめとするムスリム諸国では宗教的高揚感が高まるとともに、イスラム 過激派によるテロ攻撃の脅威も高まることが懸念されます。特に、金曜礼拝が行われる6月2日、9日、16日、23日は、モスク周辺に多数の人が集まること もあり、テロ攻撃をはじめとする不測の事態が発生する可能性を念頭に置いて行動することが必要です。
       併せて、7月1日にバングラデシュ・ダッカ市で発生したテロ事件は、ラマダン明けの最初の金曜日の夜に発生したことを踏まえ、6月23日から ラマダン明けを祝う休日であるハリラヤ・プアサ(6月25,26日)までの期間中は、外国人観光客が集まる繁華街やオープンカフェへ赴くことは相応のリス クを伴うことにご留意下さい。

 (4)  外務省海外旅行登録「たびレジ」のご案内
       外務省では、海外渡航先の最新の安全情報を提供し、事件事故や災害時などの緊急時には速やかにその旨を受信出来る海外旅行登録「たびレジ」への登録を呼び 掛けています。5月1日以降、登録に必要な入力項目が簡素化され、「旅行予定」と「旅行者情報」について、それぞれ3項目ずつ入力すれば登録されるように なりました。
       本サービスは、海外居住者が別の国に旅行や出張する際にも役に立ちます。また、スマートフォンでも簡単に登録できますので、下記のURLをご確認の上、ぜひご登録ください。 
       「たびレジ」URL→ https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/

【2.一般犯罪・凶悪犯罪の事例・手口】
       すり・置き引き、ひったくり、車上狙いなどの窃盗被害は、普段から在留者や旅行者を問わず発生しており注意が必要です。

     (1) 1月以降(一部は12月中)に大使館に報告が寄せられた邦人被害事例
ア KL市中心部でのナイフ受傷事案
       12月末の深夜、帰宅中の在留邦人が少年の集団の脇を通り過ぎようとしたところ因縁を付けられ、財布等を強奪されそうになる事案が発生しまし た。被害者は、大声を出しながら身を守ったところ、集団は何も強奪せずにその場から逃走しましたが、被害者はナイフで脚部を刺されたため、数日間の入院と 一ヶ月余りの治療を余儀なくされました。

イ KL市内中心部(チャイナタウン)での昏睡強盗事案
       3月中旬の夜半、邦人旅行者が自称オーストラリア人男性と飲酒したところ、直後から人事不省に陥り、意識がもうろうとしている間にキャッシュ カードで現金を引き出される被害に遭いました。チャイナタウン周辺にはバックパッカー向けの格安ホテルが集中しており、多数の旅行者が集う一方でこのよう な犯罪者に遭遇したりホテルとのトラブルに巻き込まれるケースが散見されます。

ウ 深夜KL市郊外での白タク強盗事案
       KL市郊外から日本人集住地区に帰宅する際、白タクを正規のタクシーと誤認して乗車したところ、隠れていた犯人グループから脅され、財布や携帯電話等を強 奪されたあげく遠方に放置される被害に遭いました。タクシーを利用する際は、安全のため予め運転手を確認出来るタクシー配車アプリ(Grabなど)を活用 し、乗車時に相手方人定と車内の安全を確認する習慣付けが求められます。

     (2)インターネットを介した各種詐欺
       マレーシアでは、銀行口座や素性が明らかでない携帯電話番号の売買が横行しており、インターネットを介した各種詐欺が横行しています。
       特に、国際交流サイト等を通じて知り合った外国人からマレーシアの銀行口座への送金を依頼される事例「国際送金詐欺」や、インターネットオー クションの落札者や入札者を偽装して商品や金銭を騙し取る事例は、日本のみならず欧米各国でも多数の被害者が発生しています。
       これらの犯罪は、ナイジェリア人犯罪組織によって敢行されているケースが多く、マレーシア国家警察商業犯罪捜査局の幹部は、これら「アフリカ 詐欺」(ナイジェリア人詐欺グループ等による取り込み詐欺や被害者の恋愛感情に乗じて金銭を騙し取るロマンス詐欺等)により、2016年中に騙し取られた 金額は1億リンギ(日本円で約26億円)以上に上るとコメントしています。
       当館にも、「相手方の連絡先や口座番号が分かっているので、マレーシアの警察に連絡して逮捕して欲しい」とか、「騙し取られた金銭(商品)を 取り返して欲しい」といった相談が多数寄せられますが、当地ではマレーシア国内法規により、被害届は被害者本人が警察署に出頭して届けることとなってお り、在外公館が被害届を代行して届け出ることは出来ません。
       皆様にあっては、電子メールやソーシャルネットワークサービスなど、直接相手方を確認することなく連絡を取り合う関係では、常に「相手の素性 は不確かである」というリスクの下に交流をしていることを念頭に置き、むやみに住所や電話番号などの個人情報開示をしないなどの自己防衛策を図ることが大 切です。
       以下に、当館でよく取り扱う詐欺事案について紹介します。
ア 国際送金詐欺(いわゆる「ロマンス」詐欺など)
       国内外の「国際交流サイト」等で知り合った外国人にそそのかされ、マレーシアやその他の国々へ国際送金してしまう事案は、男女・年齢・季節を 問わず多数発生しています。本件詐欺は、当地欧米大使館でも多数の相談を受けていることを背景に、自国民に対して注意を呼び掛けています。
       典型的な犯罪例は、架空の異性(男性の場合、欧米系白人で企業コンサルタント、米国軍人、銀行員等を名乗る事が多い)を名乗り、上述したサイ ト等で被害者を探して架空のプロフィールに基づくメールを送り付け、数週間から2,3か月程度親しくメールを交換して被害者からの信用を得ようとします。
       そして、様々な口実で数十万円程度の送金依頼を行い、被害者が応じると連絡を取らなくなるというものです。
       この種の犯行は、いわゆる「振り込め詐欺」と同様に組織的に行われており、相手方の他に税関職員や宅配業者等、複数の人間が巧妙に役割を分担 して送金を促すケースが少なくありません。従って、交流サイトやSNS等による外国人との交流では、不良外国人による詐欺などのトラブルに巻き込まれる可 能性があることを強く認識いただくようお願いします。
       また、このような詐欺事件においては、一度送金すると更に高額の送金を要求することもあるため、「金銭の貸借や立て替えを依頼するようなメー ルが届いたら、ただちに連絡を絶つ」といった厳しい態度で臨み、金銭の無心には一切応じないことが肝要です。

イ インターネット・オークション詐欺
       日本国内でネットショップやインターネット・オークションサイトに出品している邦人が、「品物を送付したが代金を支払ってもらえない」、「代金を支払ったのに商品が届かない」等の相談を多数しています。
       商品をだまし取られるケースでは、スマートフォンやデジタルカメラなどの電子機器、貴金属類など容易に換金できるものが狙われています。
       多くの手口では、犯人側は、高額な金額を提示して被害者との直接取引を持ち掛ける、あるいは海外の銀行を偽装した送金受付の文書や電子メールで被害者へ送金したと誤信させ、品物を送らせようとします。
       多くの場合、犯人はEMS(国際スピード郵便)で被害品をマレーシアへ送るよう要求し、EMSの配達状況追跡サービスを悪用して郵便局到着を見計らい、被害品を窓口で直接受け取り逃走している模様です。
       この配送先住所には居住事実がなく、受取時に提示する身分証明書も偽造身分証で人定が判明できないようにしていることがほとんどです。
       したがって、海外との取引に際し、殊更にオークションサイトを通さない直接取引を要求される、銀行口座への入金確認前にも関わらず、あれこれ 理由を付けて「すぐに送って欲しい」等の依頼をうける場合は、ただちに取引を中止するとともに、「これ以上取引を継続する意思はない、必要等あれば警察に 相談する」などと相手方に伝え、これ以上の連絡を断念させて被害を未然に防ぐ必要があります。


【3.テロ・爆弾事件発生状況】
  【テロ情勢】
       マレーシアでは、昨年6月28日、KL市郊外にてISIL関係者によるテロ事件が発生し8人が重軽傷を負う被害が発生しましたが、その後、死傷者を伴うテロ事件は発生していません。
       しかし、マレーシアには欧米系資本のホテルや飲食店が多数進出しているほか、特にKL市内にはショッピングモールやナイトクラブ等、欧米はも とより世界各国からの観光客が多数訪れる施設が存在します。このため、欧米人観光客を狙ったテロ事件が発生した場合には、在留邦人や邦人旅行者も何らかの 被害に巻き込まれる可能性は否定できないと言えます。
       また、上述のとおりラマダン期間中及びラマダン明けの休日の際は、諸外国と同様にマレーシアもテロのリスクが高まることを踏まえ、リスクに応じた行動を取ることが求められます。
  【武装勢力の侵入事案(東マレーシア・サバ州)】
       在コタキナバル領事事務所管轄のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区周辺では、2013年2月に数百人規模の武装勢力「スールー王国軍」がフィリピン側から侵入し、鎮圧に数か月を要したという事案が発生しました。
       翌2014年6月には、当該勢力の関係者が複数逮捕され、昨年7月下旬には9人に対して終身刑が言い渡されています。
       3月末現在、当該地区に対しては、海外安全情報(旧渡航情報)における危険情報のカテゴリー(4段階)のうち、レベル4(退避勧告)に準じる「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を継続発出中です。


【4.誘拐・脅迫事件等発生状況】
 【誘拐事件〜サバ州東海岸部における誘拐事件の発生動向】
      在コタキナバル領事事務所管轄のサバ州東海岸部では、かねてから身代金目的の拉致・誘拐事件が頻発しており、2014年4月以降、7件の誘拐事件が発生し ています。なお、昨年4月、サバ州東海岸のセンポルナ沖リギタン島において、誘拐されたマレーシア人船員4人については、無事解放されています。

       ・2014年4月 
         センポルナ近海(シンガマタ島)外国人旅行者1名、フィリピン人従業員1名
       ・2014年5月 
         ラハ・ダトゥ近海(バイキ島)養魚場マネージャー1名
       ・2014年6月 
         クナ近郊(サバン村沿岸)養魚場オーナー1名、フィリピン人従業員1名
       ・2014年7月 
        センポルナ近海(マブール島)海上警察官2名(内1名射殺)
       ・2015年5月 
        サンダカン海岸 レストランオーナー1名、客1名
        ・2016年4月
        センポルナ近海(リギタン島)船員4人
         ・2016年7月
         ラハ・ダトゥ沖合 船員5人
  
       各事件には、フィリピン南部に拠点を置く武装集団が関与しているとされ、リゾート施設や養魚場など海に面した場所で被害者を拉致し、高速ボートでフィリピン南部の島へ連れ去っているということです。
       本事案を巡っては、「犯人の一部が逮捕された」等の報道もされていますが、リーダーの逮捕や武装集団の解明など犯行グループを壊滅するには至っていません。
       これら一連の誘拐事件を受け、サバ州東海域では、2014年7月から夜間航行禁止令が継続して発出されており、禁止時間帯に許可なく同海域を通行する船舶は警察により逮捕された上、罰金又は勾留刑が科されています。
       上述のとおり当該地区については、3月末現在、海外安全情報の危険情報カテゴリー3「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を継続発出中です。
       なお、昨年11月22日、サバ州東部海岸に面するフィリピン南部スールー海域について、広域情報「フィリピン南部スールー海域における商業船舶に対する襲撃事件に伴う注意喚起」
       URL→ http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2016C313.html )を発出しておりますので、これら海域には絶対に立ち入らないようにしてください。

 【脅迫事件】
       地元紙の報道等によりますと、ビジネス絡みのトラブルから脅迫事件に発展してしまう事案がしばしば発生しているということです。
       脅迫事件の場合、いわゆるギャングやマフィアが関係する事案が少なくないことから、まずは「他人から妬みを買わない」、「事件に巻きこまれない」ことを念頭に無用のトラブルを避けることが賢明です。


【5. 対日感情】
       全体的に良好ですが、第二次世界大戦における各種戦役等の記念日、あるいは、いわゆる南京事件や従軍慰安婦をめぐる報道が行われた際には、こ れらの記念日・報道等をとらえて各種示威活動を展開する可能性があることを念頭に置く必要があります。


【6. 日本企業の安全に関する諸問題】
       邦人及び現地社員に対する犯罪被害防止対策とともに、他国企業で警備員や社内の者が手引きしたと思われる窃盗事案が発生していることに鑑み、 社員及び警備員に関する採用人事や勤務管理等には、特に注意を払う必要があります。

【7. その他】
〜 当地におけるジカウイルス感染症をめぐる動向
       マレーシアでは、昨年9月3日に最初のジカウイルス感染者が判明されて以降、8人の感染が確認されています(12月18日付マレーシア保険省発表による)。
       しかし、同年11月18日、世界保健機関(WHO)が、「ジカウイルスと小頭症及び神経障害に関する第5回緊急委員会」において、「国際的に 懸念される公衆の保健上の緊急事態」の終了を宣言したことを受け、当地に発出されていた感染症危険度の「レベル1:十分注意」も、11月25日に解除され ました。
       一方で、ジカウイルス感染症は妊娠中又は妊娠予定の女性が感染した場合、母子感染によって胎児に小頭症などの先天性障害を来す可能性がありま す。また、蚊に刺される以外にも性行為によって感染することがあることから、流行地域に渡航または滞在中の皆様におかれましては引き続き十分ご注意くださ い。
以上

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