四方大使着任のご挨拶

令和6年11月6日
四方大使
このたび駐マレーシア日本国大使として着任いたしました四方敬之(しかた のりゆき)です。日本大使としてマレーシアに降り立つこの日を心待ちにしておりました。
 
私がマレーシアに初めて訪れたのは25年余り前のランカウイ島への家族旅行です。ゆったりとした空気が流れる、開放的で居心地の良い場所という印象を受け、いつか長期滞在してみたいと考えておりました。

2007年の安倍第一次政権時と昨年11月の岸田政権時には、総理のマレーシア訪問に同行しました。特に岸田政権時には、内閣広報官として日マレーシア首脳会談に同席するとともに、現地のプレスや有識者の方々との意見交換を行う機会を通じて、日本とマレーシアの関係が極めて良好かつ緊密であることを実感したところです。
 
東方政策を基盤に、長年積み上げてきた深い友情と固い絆で結ばれている素晴らしい国と日本との更なる友好協力の推進に向けて最前線で仕事ができることを、大変嬉しく、また光栄に思います。来年の2025年はマレーシアがASEAN議長国となり、「包摂性と持続可能性」というテーマの下で、地域全体の方針を導く舵取り役という非常に重要な役割を担うこととなります。これに伴い、両国間の人の往来も更に活発化することが見込まれます。このようなタイミングで大使として貢献する機会を得たことに感謝しつつ、気を引き締めて取り組んで参りたいと思います。
 
昨年12月に、日本とマレーシアの関係は「包括的・戦略的パートナーシップ」へと格上げされ、新たなステージに入りました。既に良好な両国関係ではありますが、新たなパートナーシップの名に相応しいものとなるよう、更なる高みを目指して、文化、観光、留学、教育等を含めた幅広い分野の人的交流の促進に寄与したいと思います。

法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序といった共有された基本的原則と価値に基づいて長年培われてきた両国間の強固な関係は、国際情勢の複雑性と不確実性が高まる中、一層その重要性を増しています。政府安全保障能力強化支援(OSA)や先月に行われた日馬外務次官級協議、外務・防衛当局間の戦略対話、また両政府間の情報通信技術(ICT)作業部会の開催等の能動的な取組みを通じて、両国間の協力を更に拡大・深化させていきます。こうした両国間の1つ1つの協力の進展は国際社会全体の協調へとつながり、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現においても重要です。

マレーシアは、日本からの貿易・投資や経済協力にひときわ熱い眼差しを向けています。両国間の経済的連携を通じて相互の経済が更なる発展を遂げられるように、マレーシア国内のビジネス環境の改善を促しながら、日本企業の皆様によるマレーシアへの投資促進を後押ししていきます。 

日本へのLNG供給国として重要なマレーシアですが、エネルギー分野の協力はこれに留まらず、水素やアンモニアの活用や二酸化炭素の回収・貯留(CCS)等の新分野でも連携に向けた積極的な動きがみられます。日本が提唱する、エネルギー移行と脱炭素化を目指す「アジアゼロエミッション共同体(AZEC)」構想についてはマレーシアからも力強い賛同があり、グローバルな課題に共に取り組むパートナーとしてより一層頼もしい存在になりつつあります。

在留邦人の方々の御意見もお伺いしながら、日マレーシア関係をより盛り立てていくために、大使館員とともに具体的に何を実施すべきかを一生懸命に考えて、ひたむきに努力していく所存です。
 
今回の赴任にあたっては、地方訪問も大きな楽しみの1つです。州毎に異なるユニークな趣があると伺っています。自分の足で各地へ赴き、出来る限り多くのマレーシア人及び在留邦人の皆様と対話を行うことで、日本とマレーシアの地域間交流を更に活性化させ、国内全土における両国間の相互理解と友好親善を促進させたいと考えております。
 
精一杯の力を尽くしていきたいと思いますので、皆様の御支援と御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。