クアラルンプールであれば、いわゆる熱帯病はデング熱以外はあまり見られません。しかし、地方へ行けばさまざまな熱帯病が存在しています。
細菌感染症
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- 消化
器系感染症(コレラ、細菌性赤痢、腸チフス)
細菌性食中毒は稀でなく、最も注意すべきものです。食品の項で述べたように十分な加熱調理をし、調理後は時間をおかずに食べることが最も確実な予防方法です。コレラは軽症のものが増えており、元々健康であれば命にかかわることは殆どありません。
細菌性赤痢はイチゴゼリー状の便が出ると言われますが、最近では軽い下痢程度で終わるものも少なくありません。
腸チフスは熱が主体の病気で、腹痛などはあまりないことも多い。明らかに風邪とは思えない発熱の場合は、デング熱と腸チフスの可能性を考える必要があります。
- 結核
結核は患者発生率はいまだ高く、まだ稀でない病気の一つです。患者が同じ室内に長時間いると感染の危険性があるので、メイド等を雇用する場合には注意が必要です。
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ウィルス感染症 |
- デン
グ熱
患者を吸血した熱帯しま蚊という蚊に刺されることにより感染します。熱帯しま蚊は空き缶の水等で容易に繁殖するので、都市部でも見られ、主に日中吸血行動をとります。
感染から2〜7日目に関節痛、筋肉痛を伴う高熱が出ます。頭痛を伴うことも少なくありません。発熱から数日で発疹が見られることも多く、小児では咳や喉の
痛みと言った風邪と同じ症状を伴うこともあるので、風邪と間違えてしまいがちです。発熱は5日間ほど続き、全身の倦怠感はその後も暫く持続します。重症型
のデング出血熱は2回目以降の感染で起ります。血小板が低下したり血漿成分が血管から漏れ出たりするので、それらを補う輸血が必要になることがあります。
出血症状がひどいと生命にかかわることもあります。根本的な治療薬はないので、対症療法が中心となります。兎にも角にも、最善の対策はしま蚊に刺されない
ことに尽きます。
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